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大量破壊兵器ダヴリユー・エム・デイー(WMD)すなわち、核兵器や毒ガス兵器の開発計画の施設は遂に発見されなかった。
ブッュ政権での、比較的温厚で、善良な閣僚であったオニール(元アルコア会長)にはこのことが驚きであった。
9.11事件後にブッシュ政権は、計画通り、中東地域にアメリカ軍を進駐させる計画を即座に実行開始した。
そのための自己正当化の理論として、「テロリストたちからの攻撃から、アメリカ本土を防衛するために先制攻撃(プリエンプティブ・アタック)はどうしても必要なことである」とアメリカ国民を説得して戦争への支持を呼びかけた。
アメリカ国民はこれを承認して、積極的にブッシュ政権を支持した。
政権への支持率は17%を超えた。
国民と言うものは、指導者たちが煽動すると、このように易々と戦争に動員されてゆくものである。
人類の歴史は、このように愛国心と民族主義という考え方を鼓舞(インスパイア)するといとも容易に焚きつけられて、無謀な対外戦争への道を歩まされる。
その数年後には、必ず大きな失望と幻滅が襲い掛かってくるというのに。
戦争と言うものは、古来、だいたい3年から4年で、支える国民の熱狂と支持が消えうせるものなのである。
剥き出しの報復感情と、アメリカの軍事行動を故意に正当化するために、どうやってイラクの独裁者サダム・フセインを、9.11事件と結びつけるかという、事実ブッシュ政権が逼進したことは今では良く知られている。
9.11事件とイラク政府との関連性の証拠は全く見つからなかったし、更には大量破壊兵器の開発の証拠も全く見つからなかった。
それにもかかわらず、歪曲や猛烈な勢いの偽りの政府答弁と陳述によって、世論や議会の支持が作り出され、サダム・フセイン政権の体制転覆(レジーム・チェンジ)が正当化された。
サダム・フセインが「イラクの自国の原油を、ドル建てではなく、ユーロ建てで販売し、ョで、基軸通貨(キー・カレンシー)であり、世界銀行が公認する準備通貨(リザーブ・マネー)としてのドルの完全性を攻撃した。
サダム・フセインは、オイル・メジャーを支配するロックフェラー家の逆鱗にふれたのである。
だから、彼を国際社会から追放し、更には、ヒトラーや東条英機の閣僚たちと同じように縛り首にして、世界中に「アメリカ帝国への反抗者はこのような目に遭うぞ」という見せしめの像にされた。
メディアを使って操られた国民が幻滅し、国民に自覚を促すのには、それなりの時間がかかるのである。
米国がイラク攻撃に執着した契機と真の理由は、これであると今では多くの人々が分かっている。
私たちは開戦の唯一の理由であるとは思わないが、アメリカが、同盟諸国を参戦に促して、この戦争を遂行する動機作りに重要な役割を果たしたとは考える。
アメリカ軍の地上軍の進撃と軍事的勝利の直後から、イラクの原油輸出は再び全てドル建てとなり、ユーロ通貨での決済は見捨てられた。
南米で新たな動きが起きている。
南米最大の石油産出国であり、「南米の白人国家」としてアメリカの友好国であったベネズエラに、ウーゴ・チャベス政権が誕生した。
2001年に入ると、ベネズエラの駐ロシア大使が、「ベネズエラは、以後、原油輸出を全てユーロ建てにする」と発表した。
怒ったアメリカ政府は、反抗的なチャベス政権に対して、ベネズエラ石油公社の重役たちをけしかけて、1年もたたない内に、チャベス政権の転覆を狙ってクーデターを起こさせた。
明らかにCIAと国防総省の特殊軍の参画と協力によるものであったと広く伝えられている。
ところがこのクーデター計画はベネズエラ国民の怒りを買い、監禁さ「南米は、アメリカの裏庭(バックヤード)である」と長く言われてきた。
だから、モンロー宣言で、アメリカは、ヨーロッパ列強に対して、「南米に手を出すな。
南米はわれわれアメリカ合衆国のものである」とモンロー大統領の声明文で公言したのである。
チャベス大統領は、無事救出されて、政権を取り戻した。
以来チャベスは、中南米諸国の、反アメリカの象徴的な英雄的な存在になっている。
ラテン・アメリカ地域でのアメリカ合衆国への信任と信頼も地に落ちている。
「ドル覇権」を維持するために、新興のユーロ通貨を追い落とし、ドルに代わる世界の準備通貨になろうとする動きを封じ込めようとアメリカ政府は躍起になった。
これらの企ては世界の各地域で抵抗に遭い、このユーロ追い落としの計画も失敗した。
1999年に誕生した欧州統一通貨のユーロ28は、はじめに起きたユーロに対する信用低下から回復して元に戻った。
この時期には、1ユーロは1ドル以下の0.9ドル台の力しかなかった。
それがやがて、1ユーロ1ドルを迎え、それから、徐々にドルの値段を越えていった。
今では、1ユーロは、1.4ドルにまでなった(P妬の表を参照のこと)。
日本円との交換比率では、2007年には、1ユーロ168円にもなった。
この動きは今後も衰えることなく続くモンロー宣言は、けっして単なるアメリカのアイソレーショニズムではない。
モンロー主義は、南北アメリカを自分の生存空間(レーベンスラウム)だと宣言する地域覇権(リージョナル・ヘジェモニー)の表われなのである。
南米地域(ラテン・アメリカ)は、その後の1898年の米西戦争(アメリカ・スペイン戦争)で、アメリカの従属地域になった。
米西戦争は肥世紀以来のスペイン海洋帝国の優位を打ち砕いて、キューバとフィリピンをアメリカがスペインから奪い取った戦争である。
ところが、アメリカの膝元の南米諸国のまさしく筆頭の国であるベネズエラで、アメリカの凶暴な対外侵略主義であるネオコン政策に大きく反抗する動きが起こった。
米国政府は今でもなおチャベス政権の転覆を企てた人々に共鳴しており、その失敗に当惑していることが明らかになっている。
ウーゴ・チャベスが民主的に選出されている合法的な政府であるという事実を、アメリカ政府と右翼的なアメリカ国民の感情は、いまなお承認しようとしない。
アメリカ帝国が、アジア諸国、中東諸国だけでなく、南米諸国までも、自分たちの「臣下の国」(属国)であるとして内心で見下げているという事実をよく表わしている。
それでもこれらの一連の世界中での事件は、米ドルの信任と優位性を徐々に掘り崩して、衰アメリカの湾岸地域(ザ・ガルフ・リージョン)への政策の一環として、アメリカはイランに常に干渉してきた。
古くは1953年に、CIAは民主的に選出されていたイランのモハメド・モサデク政権の転覆を支援し実行した。
モサデク博士はイラン国民の愛国感情を代表する立派な人物であった。
アメリカはCIAの謀略政治力と軍事力を使って、軍部のクーデターに仕立て上げて、モサデクを追い落とした。
このあと親米のシャー・パネオコンによる「世界革命」は完全に失敗した退に向かわせる重要な役割を果たしている。
現在では、世界各地で、「ドル・石油通貨体制」(修正IMF体制、ロックフェラー石油通貨体制)に対抗する新たな企てが次々に生まれている。
誕生してすぐの2001年にブッシュから、キューバ、北朝鮮、イラクと並んで、「悪の枢軸」(アクシス・オブ・イーヴル)と名指しされたイランもまた、2006年3月に、「独自の石油取引所を開設する」と宣言した。
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